通常光学系で得られる像には正立像と、倒立像があるのはご存知ですよね。しかし光学系によっては(対物レンズからの像が倒立像の場合)上下方向が正立、左右方向が倒立となるものがあります。これはミラーを使った光学系によくあることで、俯仰角をミラーで変えたとき上下方向は一回反射で上下正立、左右方向は一回反射であるが、倒立のままというものです。ところが俯視プリズムを使用して俯仰角を変えると、上下方向は2回反射で倒立、左右方向は2回反射でも変わらず倒立になります。従ってどのように光路の俯仰角を変えるかによって全方向が正立・倒立または、上下・左右のどちらかが正立もしくは倒立になります。(実はこの件、どこかの学校の入試問題で出たそうです。ところが解答は正立・倒立のどちらかであった為クレームが付き、問題を出した学校側や、教育委員会があわてて当方に電話してきたという次第です)従って、光学系がどのようになっているかで接眼レンズを覗いたときの像の性質が違います。 しかし、潜望鏡を覗いて得られる像が前記のどの状態であっても、潜望鏡が旋回したときに像が元見ていた像とは逆になることはありません。それは潜望鏡を旋回しても、見ている物体は光軸上で回転しないからです。先の投稿で「潜望鏡の真上の像を見ると・・・」と書きましたが、この場合、潜望鏡の旋回中心=光軸中心であり旋回すれば、像は反転します。しかし水平線を覗いているので潜望鏡が旋回しても見ている水平線は光軸上では回転していません。 例えば、双眼鏡を覗きながら自分自身が180度回転して後ろを向いても、後ろの映像は倒立像とはならないでしょう。
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