みなさんを証券会社の舞台裏にご案内します-No.10


  あとがき

 この原稿を書きながら、当時の事を思いつつも幾度となく自問自答した事は決して悪い人はいなかったのになぜあのような殺戮のメカニズムに甘んじて全員が従事していたのか?という一点である。
 日本は幕末の有限会社「徳川商会」から、株式会社「日本商事」へと変身した。もちろん旧経営陣と新経営陣との戦いはあったものの、一応は三百年ののれんをたたんだのであった。
 それ以降いかに先発の「イギリス商会」や「アメリカ物産」に対抗していいところは享受しながらも伝統的な「徳川商会」の体質を維持しようと懸命に突っ走ってきた。
 当然他の会社とのトラブルがあった。
 1 日清戦争
 2 日露戦争
 3 日中戦争
 4 太平洋戦争
 筆者はこのたびの日本のバブルは5番目の戦争であったと考える。
 まさしく「マネーウオーズ」と呼ばれ、資本主義列強と対戦していたのであった。
 日本人は元来「目に見えないもの」を評価する能力に欠けている
都市の消失や建物の崩壊、兵隊の死亡がないから分かりにくいだけで目に見えない戦争が実際に行なわれたのである。
 相手は主に「アメリカ物産」「ユダヤ商事」「華僑実業」この三社である。
 そして戦艦、巡洋艦の比率を決めた不平等な「ロンドン軍縮会議」こそ今回の「BIS規定」であった。
 そのような理解の仕方をしなければ当時のあのような行為を理解することは非常に難しいのである。
 この物語に出てくる人達はみな、平時は心やさしい、家族思いで困ったときはよく相談にも乗ってくれた方達である。
 それなのに「なぜ?」と本当に理解にくるしむ時があった。
 当時のわれわれを取り巻いていた環境こそが、本当に戦争の最前線に似ていたため「殺さなければ、殺される」の意識が金融機関内に渦巻いていたのであった。
 「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があるが、おもしろおかしく書いたつもりではあるが決して登場人物たちを「悪い」と思ったことはない。むしろ得難い経験を短時間の間に凝縮してさせていただいた感謝の気持ちでいっぱいである。
 前の戦争は結果として負けたのであるが、今回の「マネーウオーズ」はどうだったのであろうか?現在も進行形であるので結論ではないが、今のところ「完敗」であろう。
 被害総額「300兆円」これがそっくり欧米のヘッジファンドに吸い取られていった。
 今ニューヨークの株価が史上最高値を更新している中、なぜ日本の東京マーケットだけがピークの半分くらいでのたうち回っているのか?
 少し考えれば自明の理であろう・・・
 しかし戦いの「勝ち」「負け」は別として日本人というのは目標を明確にしてあげれば本当に死力を尽くして頑張る民族だと痛感した次第である。
 のみならず痛烈な社会批判をうけながらも現在も戦っている兵士をみていると頭がさがるのである。
 最初は脱走兵の暴露本的な感じであったが事はそんな小さな問題ではないような気がしてきたのである。
 日本あげて欧米と戦った金融戦士たちに「ごくろうさま、休んでください」といたわりの言葉をかけてやってほしいのである。
 本当に彼らはがんばっていました。
                            須磨 成彦




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