4)射撃精度 さて、最も重要な部分ですね。
・散布界 似たようなものらしいです。つまり、両方悪いってことです(^^; 大和は3連装砲塔の歪み、アイオワは長砲身のブレによるものらしいですが。
・測距儀 日本の光学兵器の優秀さはよく主張されますが、疑問も投げかけられてい ます。 #ふかちゃんさん、申し訳ありません
遡って第一次大戦時、欧州から測距儀用のガラスの輸入が途絶えたため、 長門級の測距儀は「ラムネの瓶」の様だったとか。 太平洋戦争時の潜水艦の潜望鏡は、旋回すると像が倒立してしまうような ものだったとか。 さて、では大和の測距儀はどうだったのでしょうか?
アイオワのそれについては知識を持ちません。よってこの項についての比 較は行ないません。
・電探 これは大和に比してアイオワ有利です。文句無いでしょう。 ただ、言われているほど高性能なものだったかは疑問です。カタログデー タ通りなら、スリガオ海峡海戦で西村艦隊は1隻残らず全滅するでしょう(最 上脱出)。 開戦前、その高さを歌われた日本軍の砲撃命中率を彷彿とさせます。
さて、よく言われるようにアイオワは夜戦では絶対有利なのでしょうか? 確かにデータ的にはそうですし、スリガオ海峡海戦の結果もそれなりの裏づ けとなるでしょう(日本軍を一方的に攻撃)。
しかし、この前提には見落としがあります。それは、「なぜアイオワは夜 戦を仕掛ける必要があるのか?」です。 アイオワ級が昼間砲戦を避ける理由がないのです。同じ40.6cm砲9門搭載艦 (と思っていた)なら2隻対4隻でアイオワ級有利です。一対一でも速力で勝 ってますし、条件が同じなら戦闘は行なうでしょう。 電子の目を持つとはいえ、昼戦に比べて夜戦は不利な要素が多いですが、 その一つに「レーダーが目標を見失う」可能性があります。そんな危険を冒 してまでわざわざ夜戦に持ちこむとは思えません。 #日本海軍じゃあるまいし 特に事情がない限り(夜間海峡を突破されては困る等)、米の指揮官は数 の優位を生かして昼間砲戦を仕掛けると思います。
前記の速力の件も同じです。しかも、アメリカは大和が46cm砲搭載とは知 らないわけですから、「着かず離れず」のような消極的戦法は後で査問にか けられる可能性さえあります。やはり、昼間充分に接近しての砲戦を行なう でしょう。
同じことが大和にも言えます。 46cm砲のアウトレンジがよく主張されますが、第二次世界大戦において発 生した砲戦で、25,000mを越えての命中弾はないそうです。
海面からの視界Sは次の式で表されます。 Skm=3.5√(h1m+h2m) ……h1,2は観測点と被観測点の高さ つまり、高さ40mの戦艦の測距儀では約22km遠方しか見えないのです。直 進するレーダー波も同じです。 相手の戦艦のマストが40mとしても約31kmです。水平線に先端が僅かに見 えるだけで、です。視界が悪ければこの数値はもっと悪くなります。
砲戦距離が25kmを越えたら観測機を使うしか方法が無いでしょう。最大 射程での砲戦が夢物語であることが分かります。
やはり、このあたりは軍艦ファンが後年カタログデータだけから判断した ものと言わざるを得ないと思います。
……どうも私論に走ってしまった様です。この辺りはそのまま受け取ると 危険かと思います。
5)結論 読み返してみるとどうも大和の弁護に走っているようですが、私の基本的 なスタンスは「真相は闇の中」です。
まあ、大和とアイオワが一対一で戦うなんてまず起こり得ないことだ、と いうのがその理由ですね。ただ、心情的には竣工が2年早い大和に軍配を上げ たいところですね。
長文にお付き合い頂き誠にありがとうございました。批判、間違いの指摘、 ご意見等お待ちしています。 #長文過ぎて分割する羽目になったし(T_T
では
P.S. 年末にかけて某イベント参加の為しばらく不在です(^^;
|